FP3級実技試験<個人資産相談業務>その5
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・問題および解答は、2004年度第1回問題・模範解答を参照しています。
・解説は自前の参考書および関連HPを参考にしています。
・関連HPは、Googleで上位検索されたものの中から参考にしたものを掲載しています。
※解説は十分調査しているつもりですが、間違いがある可能性もございますのでご了承下さい。
※間違いや著作権などの問題がある場合はご連絡いただければ修正します。
【第1問】 次の設例に基づいて,下記の各問(《問1》〜《問3》)に答えなさい。
《設 例》
Aさんは,平成16年3月に株式会社X社を退職し,同月に株式会社Y社に中途入社した。Aさんは,Y社から,次のような源泉徴収票を受け取ったとする。
※源泉徴収票は2004年度第1回問題でご確認ください。
《問1》 AさんがY社から受け取った源泉徴収票に係る「給与所得控除後の金額」(給与所得の金額)として,次のうち正しいものはどれか。
1) 9,600,000円
2) 9,700,000円
3) 10,200,000円
解答:2)
解説:12,000,000円-(12,000,000円*0.05+1,700,000円(=2,300,000円))=9,700,000円
《問2》 Aさんの年末調整に係る所得控除額等について,次のうち誤っているものはどれか。
1) 特定扶養親族とは,扶養親族のうち,その年の12月31日において年齢が16歳以上23歳未満の人をいい,学生であるかどうかは問わない。
2) Aさんに係る源泉徴収票より,長期損害保険料の金額が30,000円であることから,損害保険料控除額が15,000円であることがわかる。長期損害保険料とは,保険期間または共済期間が5年以上で,期間満了時に満期返戻金等が支払われることになっている損害保険契約等に基づき支払った保険料をいう。
3) Aさんは,配偶者Bさんの合計所得金額が38万円以下であるので,配偶者控除の適用を受けることはできるが,配偶者特別控除の適用を受けることはできない。
解答:2)
解説:
1) 特定扶養親族は年齢16歳から22歳(12月31日で判定)で判定され、学校に通っているかどうかは関係ありません。
2)期損害保険料とは、保険期間が10年以上で、かつ、満期返戻金があるものです。5年以上というところが間違い。
3)配偶者控除とは、給与所得者の配偶者(多くはサラリーマンの妻)の年収が103万円以下ならば、配偶者は所得税を納める必要が無く、給与所得者の所得から38万円の配偶者控除を差し引かれる税制上の制度のことです。
配偶者特別控除は、サラリーマンに対する減税を目的として創設された制度で、給与所得者の年収が1,000万円以下であること、配偶者の年収が103万円未満であることです。
さらに、配偶者が103万円以上を得て配偶者控除の対象に該当しない場合でも、配偶者の年収が141万円未満の場合は「配偶者特別控除」が適用され、配偶者の年収に応じて控除額を調整するしくみになっています。
http://www.city.tsuruoka.yamagata.jp/tax/koujyo.html
《問3》 給与所得者の所得税の年末調整について,次のうち誤っているものはどれか。
1) 年末調整は,原則として,給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人の給与について,その年最後の給与の支払をするときに行う。
2) 設例のAさんが,X社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合であっても,2カ所以上からの給与支給となり,確定申告をしなければならないため,年末調整をすることはできない。
3) 仮にAさんが,平成16年10月に死亡退職した場合,年の中途で行う年末調整の対象者となる。
解答:2)
解説:2ヶ所以上より給与を得ている者は、うち1ヶ所にしかこの申告書を提出できません。 この申告書は給与の支払者を経由して、その支払者の源泉所得税の納税地の所轄税務署長に提出することになっていますが、税務署長から特に提出を求められた場合以外は、提出を受けた給与の支払者が保管しておくことになっています。
【第2問】 次の設例に基づいて,下記の各問(《問4》〜《問6》)に答えなさい。
《設 例》
会社員のSさん(52歳)は,定期預金の金利が低いことから,手元にある資金を株式や債券などの有価証券で運用したいと考えている。そこでSさんは,現在のマーケット環境においては,どのような有価証券で運用するのがよいかを,さまざまな観点から検討してみることとした。
《問4》 Sさんは,まず,マーケット環境を分析してみようと考えた。これに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1) 一国の経済がどの程度成長しているかは,経済成長率から判断する。日本における経済成長率は,「国内企業物価指数」の伸び率によるとされている。
2) 企業の業況等の調査結果である「企業短期経済観測調査」は,内閣府が1年に1度公表している。
3) 一般の消費者が日常生活で購入している商品価格の動向を表す「消費者物価指数(CPI)」は,総務省が調査・公表している。
解答:3)
解説:
1) 企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数で景気判断に活用することが可能となる。
2) 日本銀行が3か月ごとに実施する民間企業の景況感などに関する調査です。
3) その通り。
《問5》 Sさんは,現在のマーケット環境からみて,公募の追加型株式投資信託が有望な投資対象の一つだと考えている。公募の追加型株式投資信託に関する次の記述の空欄に入る語句の組合せとして正しいものは,1)〜3)のうちどれか。
公募の追加型株式投資信託を購入したり換金したりする際の値段を,( @ )という。信託財産留保額の徴収がない公募の追加型株式投資信託を解約請求により換金した場合,解約時の( @ )が( A )を上回っているときは,平成20年3月31日までの解約であれば,上回っている部分に対して所得税と住民税を合わせて( B )の税率で源泉徴収されることになる。
1) @基準価額 A個別元本 B10%
2) @時価純資産額 A解約価額 B15%
3) @売買基準価額 A平均信託金 B20%
解答:1)
解説:追加型株式投信は、従来は、すべての受益者の平均購入価額である平均信託金を、その受益者の元本としていました。しかし、政府の「規制緩和推進3か年計画(改定)」(閣議決定)において、「平均信託金方式を個別元本方式に変更することとし、その実施時期を平成12年4月とする。」こととされました。これにより、平成12年4月より、個々の受益者がファンドに信託した額を「当該受益者の元本」とする「個別元本方式」に変更となります。「当該受益者の解約・償還価額」から「当該受益者の個別元本」を差し引いた元本超過額が、従前同様に「配当所得」となります。
《問6》 Sさんは,円安局面においては,外貨建MMFが有望な投資対象の一つだと考えている。
外貨建MMFに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1) 外貨建MMFは,30日未満で換金しても信託財産留保額を徴収されることはない。
2) 外貨建MMFを購入する際に円貨を外貨に交換するレートをTTB(対顧客電信買相場),換金する際に外貨を円貨に交換するレートをTTS(対顧客電信売相場)という。
3) 外貨建MMFの分配金は20%の源泉分離課税となり,為替差益は非課税となる。
解答:2)
解説:TTBとTTSが逆です。
TTS(Telegraphic Transfer Selling rate, 対顧客電信売=外貨購入・預入レート)、つまり、銀行が顧客に対して外貨を売る(円を外貨に交換する)時に用いられる為替レートです。米ドルの場合、仲値+1円としている銀行が大部分です。他の通貨では仲値より1円以上高くなります。
TTB(Telegraphic Transfer Buying rate, 対顧客電信買=外貨売却・払出レート)、つまり、銀行が顧客に対して外貨を買い取る(外貨を円に交換する)時に用いられる為替レートです。米ドルの場合、仲値−1円としている銀行が大部分です。他の通貨では仲値より1円以上低くなります。
【第3問】 次の設例に基づいて,下記の各問(《問7》〜《問9》)に答えなさい。
《設 例》
会社員のMさん(43歳)は,妻(41歳)と長女(9歳)の3人家族である。
Mさんは,いままで社宅に住んでいたが,4,000万円の新築マンションで気に入った物件があったので,今年購入しようと思っている。Mさんの年収は700万円で,月約40万円の手取収入がある。Mさんは,これまで5年間,財形住宅貯蓄を積み立てており,現在の残高は300万円である。
購入にあたって必要となる自己資金は,この300万円とそれ以外の預貯金とを合わせ,650万円用意できるが,住宅ローンの借入額を抑えるため,Mさんの父親等から住宅取得資金の贈与を受けたいと考えている。
《問7》 住宅取得目的の積立商品の特徴に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1) Mさんが財形住宅貯蓄を解約し,一定の要件を満たすマンション取得の頭金に充当する場合,財形住宅貯蓄非課税制度の要件違反にはならない。
2) 郵便貯金の預入限度額は,住宅積立貯金を含めて1,000万円である。
3) 住宅金融公庫が発行する「つみたてくん(住宅宅地債券(住宅コース))」は,3年以上,最長5年間にわたって半年ごとに継続して購入することにより,住宅購入資金を積み立てることができる。
解答:2)
解説:http://www.yu-cho.japanpost.jp/s0000000/sts00100.htm
一般の限度額の範囲内(1,000万円)で、通常貯金、積立貯金、定額貯金、定期貯金、教育積立貯金がご利用になれます。ただし、教育積立貯金は積み立てられる金額(満期額)は200万円までとなっています。
また、この一般の限度額とは別に、住宅積立貯金を50万円までお預かりします(住宅積立貯金専用の限度額)。
このほか、勤労者の方を対象とした財形貯金は、財形住宅定額貯金、財形年金定額貯金、一般財形定額貯金の3種類の貯金を合わせて、一般の限度額及び住宅積立貯金専用の限度額とは別枠で、550万円までお預かりします(財形貯金専用の限度額)。
ただし、財形年金定額貯金は385万円がお預かりできる限度となっています。
なお、一般財形定額貯金については、財形貯金専用の限度額が一杯となっても、一般の限度額に余裕があれば、その余裕額までは貯金することができます。
《問8》 住宅ローンに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1) 雇用・能力開発機構の財形住宅融資を利用する場合の融資額は,原則として,融資申込日における財形貯蓄残高の10倍相当額かつ4,000万円以内で,実際に持家に要する費用の80%に相当する額以内とされる。
2) 年収800万円以下の人(給与収入のみの人)が,住宅金融公庫の「マンション購入融資」を利用する場合の融資限度額は,原則として,所定の融資額と購入価額の80%のいずれか低い金額とされる。
3) 金利,返済回数,借入期間の条件が同じ住宅ローンの返済方法において,元利均等返済方式は元金均等返済方式に比べて,利子の支払総額が少なくなる。
解答:3)
解説:元金均等返済方式の方が、利子の支払総額が少なくなる。
http://www.eloan.co.jp/howto/cpt_hensai.html
1) http://www.jyukou.go.jp/yusi/kojin/zaikei.html
2) http://www.jyukou.go.jp/yusi/kojin/mansyon.html
《問9》 Mさんが設例の住宅取得にあたりMさんの父親等から贈与を受けた場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。ただし,住宅取得資金等贈与の特例の適用要件は満たしており,本年中は他に贈与を受ける予定はないものとする。また,相続時精算課税制度は選択しないこととする。
1) Mさんの父親から500万円の贈与を受けた場合,贈与税は課税されない。
2) Mさんの父親から600万円の贈与を受けた場合,贈与税は課税されない。
3) Mさんの祖父から550万円の贈与を受けた場合,贈与税は課税されない。
解答:2)
解説:非課税額は、550万円までです。
http://www.empire-mansion.com/qa/life/q_a/13.html
【第4問】 次の設例に基づいて,下記の各問(《問10》〜《問12》)に答えなさい。
《設 例》
会社員のTさん(45歳)は,現在住んでいるマンションを下記の条件(予定)で,親族以外の人に譲渡することにしており,譲渡後は,新たにマンションは購入せず,賃貸マンションに移り住むつもりである。
なお,この譲渡については,「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例の適用を受けることができるものとする。
〈譲渡に係る条件等(予定)〉
譲渡の日 平成16年10月1日
所有期間 20年(平成16年10月1日現在)
譲渡対価 20,000千円
取得費 40,000千円
住宅ローン残高 29,000千円(平成16年9月30日現在)
Tさんの平成16年分の給与所得の金額 6,000千円とする(他に所得はない)
《問10》 Tさんが適用を受けようとする「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例の適用要件に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1) この特例の適用を受けるためには,譲渡する居住用財産について,5年以上の所有期間のあることが必要である。
2) この特例の適用を受けるためには,譲渡する居住用財産に係る一定の住宅借入金等を有することが必要である。
3) この特例の繰越控除の適用を受けるためには,適用を受ける年のTさんの合計所得金額が50,000千円以下であることが必要である。
解答:※
解説:問題不備
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/064_2.htm
《問11》 Tさんが設例の条件で,平成16年10月にマンションを譲渡した場合,譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち,他の所得と損益通算をすることができる金額の限度額(「特定居住用財産の譲渡損失の金額」)として正しいものは,次のうちどれか。
1) 9,000千円
2) 11,000千円
3) 20,000千円
解答:1)
解説:「売却代金-購入代金」と「借入金残高-売却代金」で金額の絶対値が小さい方が損益通算できる金額となります。
「売却代金-購入代金」=20,000千円-40,000千円=▲20,000千円
「借入金残高-売却代金」=29,000千円-20,000千円=9,000千円
20,000千円>9,000千円
※9,000千円
http://www.taxanser.nta.go.jp/3390.htm
《問12》 Tさんが設例の条件で,平成16年10月にマンションを譲渡した場合,譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち,他の所得と損益通算をした後なお控除しきれず,平成17年以後3年内の年に繰り越して控除することができる金額(「通算後譲渡損失の金額」)として正しいものは,次のうちどれか。
1) 3,000千円
2) 5,000千円
3) 6,000千円
解答:1)
解説:個人が平成10年1月1日から平成15年12月31日までの間に特定の居住用財産の譲渡をしたことにより生じた譲渡損失については、その譲渡に係る契約締結日の前日等において譲渡資産に係る住宅借入金等を有していること、一定の期間内に買換資産を取得して居住の用に供することなどの一定の要件の下で、その年の翌年以後3年内の各年分(その年末において買換資産に係る住宅借入金等を有し、かつ、合計所得金額が3,000万円以下である年分に限ります。)の総所得金額等の計算上控除することができることとされています(措法41の5)。
【第5問】 次の設例に基づいて,下記の各問(《問13》〜《問15》)に答えなさい。
《設 例》
Aさんは平成16年5月に死亡したとする。Aさんの相続関係図・相続財産は,次のとおりである。
※相続関係図・相続財産、相続税の速算表は、2004年度第1回問題でご確認ください。
(相続財産,相続税評価額等)
宅 地 150,000千円 (小規模宅地等の評価減の特例適用後)
建 物 20,000千円 (相続税評価額)
生 命 保 険 金 50,000千円 (配偶者Bの受取額。生命保険の契約者(保険料負担者)
と被保険者はいずれもAである)
その他の財産 25,000千円 (相続税評価額)
計 245,000千円
《問13》 設例の場合の民法の規定による相続人の数と,相続税の計算上の相続人の数の組合せとして,次のうち正しいものはどれか。
1) 民法の規定による相続人4人(B・C・H・I)
相続税計算上の相続人5人(B・C・H・I・J)
2) 民法の規定による相続人5人(B・C・H・I・L)
相続税計算上の相続人5人(B・C・H・I・L)
3) 民法の規定による相続人4人(B・C・H・I)
相続税計算上の相続人4人(B・C・H・I)
被相続人A(平成16年5月死亡)
次男F(平成7年12月死亡)
長女J(平成16年6月相続放棄)
解答:1)
解説:相続税計算上の相続人には相続放棄した長女Jも含まれる。
《問14》 相続税における「配偶者の税額軽減」に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1) 被相続人との婚姻期間が20年以上である被相続人の配偶者でなければ,この規定の適用を受けることはできない。
2) 配偶者の遺産取得額が,「相続税の課税価格の合計額に対する配偶者の法定相続分相当額」までであれば,配偶者に相続税は課税されず,たとえそれを超えたとしても170,000千円までの財産の取得であれば,相続税は課税されない。
3) この規定の適用を受けるためには,相続税がかからない場合でも,一定の書類を添付した相続税の申告書の提出が必要である。
解答:3)
解説:これらの制度を利用するためには、原則として期限内(10ヶ月以内)に遺産分割協議を完了させて、相続税の申告と納付をしなければなりません。
1) 婚姻期間は関係なし
2)170,000千円ではなく、160,000千円。
《問15》 Aさんの相続に係る課税遺産総額は120,000千円である。この場合の相続税の総額として,次のうち正しいものはどれか。
1) 18,000千円
2) 31,000千円
3) 48,000千円
解答:1)
解説:
配偶者:120,000*1/2=60000(所得金額)⇒11000(課税価格)
長男C:120,000*1/4=30000(所得金額)⇒4000(課税価格)
孫H:120,000*1/8=15000(所得金額)⇒1750(課税価格)
孫I:120,000*1/8=15000(所得金額)⇒1750(課税価格)
合計:1850??
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